マーメイド・ラバーズ・ショック

 二十年生きてきて、やっと気づいた。俺はモテない。ショックだぜ。

 でもモテないってことがわかったからって、俺の女の人と仲良くなりたいって欲望は一向に減ることはないのだ。ショックだぜ。

 俺は自分のモテない理由を追究した。中高6年間水泳部だったし、今でもちょくちょく泳いでるからガタイはいい。頭だってそう悪くはない(進研ゼミをやってた)。血の滲むような努力でファッションセンスも身につけたし、女性ウケする振る舞い方もマスターしてるハズだ。でもモテない。ということは、俺がモテない原因は、自分の努力ではどうにもならない事にあるということになる。つまり、ご先祖様が何らかの形でモテない呪いをかけられたとか、そういうことだ。ショックだぜ。

 俺が自分の運命に絶望してる頃、この街で殺人事件が起きた。女性の死体の上半身に巨大な魚の下半身がくっつけられた状態で発見されたのだ。ショックだぜ。
たまたま現場に居合わせた探偵が調査を始めたらしいんだが、俺は容疑者として探偵に疑われているらしい。ショックだぜ。
 探偵が俺のところへ来てこう言った。「犯人はあなただ! あなたは、女性にモテないというコンプレックスをこじらせていた。得意の水泳とエラの張った顔から、人間よりも魚に近い生物、つまり人魚にならモテると錯乱した頭で考え、女性の死体を利用して人魚を作ったのだ」と。ショックだぜ。

 俺の顔ってエラ張ってんだ……