ロメロは逆立ちしてもロメロ

――20XX年。
 アメリカ・フィラデルフィアで死体が蘇るという事件が発生した。蘇った死体は次々に人間を襲った。そして恐ろしいことに蘇った死体に襲われた人間もまた人間を襲い始めたのである。蘇った死体は爆発的に増殖し、世界から人間が消えた。“ゾンビ時代”の幕開けである。
 そして、この物語はその“ゾンビ時代”末期の出来事である。
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 恐ろしい話を聞いた。アフリカの方で『ニンゲン』とかいうやつが発見されたらしい。なんでも俺たちゾンビが『ニンゲン』を食べると、食べた俺たちが『ニンゲン』になってしまうそうだ。とんでもないウイルスだ。『ニンゲン』になると動きが俊敏になり、思考能力も上がるらしい。そんなことになったら最悪だ。
 今はみんな腐りかけの体を引きづりながらノソノソ暮らしているが、『ニンゲン』の世界ではそうはいかないだろう。強い体を手に入れた『ニンゲン』は、その力を誇示するために競い合うに違いない。例えば、100メートルをどのくらいの速さで移動できるか比べて、1秒とか0.5秒とか、そんなちっぽけな差に一喜一憂するんだろう。
 もし『ニンゲン』になってしまって、複雑な思考回路を持たされたら、自分が周りからどう思われているかを過剰なまでに意識してしまうのだろう。そしたら美容室で「いかがですか?」と聞かれて、もう少し髪を短くして欲しくても、美容師さんの機嫌を損ねるのが恐ろしくて「大丈夫です」とか言ってしまうのだろう。みんながゾンビの今なら、お互い「ウゥー」「アァー」と言い合っていればいいのだから最高だ。髪型や服装なんて誰も気にしない。体臭も気にしなくていいから8×4だって必要ない。だってみんな腐っているんだもん。
 あぁ嫌だ。嫌だ。周りを気にしてカラオケで好きな曲を思いっきり歌えないような世界は嫌だ。好きでもない流行りの曲を覚えるのは嫌だ。
 僕はこの不安を腐itter(フイッター)に吐き出した。

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romero ウゥー ア、アァ…
6時間前

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zakku @romero コ、コポァ グア
数秒前

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 僕はまだゾンビでいたい。