故郷へ

あたしって宇宙人なんじゃないかと思うんですよ。故郷の惑星(バルバンゴ星)で戦争が激しくなり、バルバンゴ星の国王ガゼルバンゴⅣ世は戦火から守る為に生まれたばかりのお姫様(あたし)を地球人に擬態させて地球に避難させた。そして以前から地球の調査のために派遣されていたバルバンゴ星人の夫婦(今の両親)に育てられる事になった。と、まぁこんな感じです。


考えれば考える程、否定できないんですよ。だってあたしがバルバンゴ星人じゃないって証明できる人いますか?(いや、いない。)逆にあたしがバルバンゴ星人だって証拠の方が多いんですよ。あたしの左乳房に生れつきあるホクロは王家の証だと考えられますし、弟が発する奇妙な寝言はバルバンゴ語だと考えて差し支えないでしょう。母親が他人から電話がかかってくると声が変わるのも、父親の体毛が必要以上に濃ゆいのも、お腹が減るとイライラしてくるのも、ダイエットしてもすぐ元通りになるのも、全部バルバンゴ星人の特徴だと考えると、やっぱりあたしの考えは間違いじゃない事になります。

あぁまだ会った事のない本当の両親は無事だろうか?早く会いたい。私は元気だと伝えたい…
あ、そうだ。バルバンゴ星人にはテレパシィ能力が備わってるから、それを使ってバルバンゴ星にいる本当の両親に呼び掛ければいいんだ。

あたしは夜、みんなが寝静まった後、ベッドの中で星空に向かってテレパシィを送ってみます、そして受信しようとします。

聞こえるのは「じー」というノイズ音と月に吠える犬の鳴き声。