君はもう白ち〇ぽを見たか

 朝起きたらアレが生えてた。今まで凹だったわたしの股ぐらに凸が生えてた。恥ずかしながらわたしはそういう経験がないので、これが本当にアレなのかはわからないんですけど、まぁでもたぶん噂に聞いたことがあるアレだと思う。なんか人から聞いた話と特徴が一致している。

 わたしのアレはちょっと申し訳なさそうな表情をしていて(顔があるわけじゃないんだけど)、色白だ。なんなら本体のわたしよりも色白だ。この野郎! ナヨナヨしやがって! シャキッとしろ! なんてことを無意識に考えだしはじめていて自分にビビる。なんかマチズモっぽいじゃないですか。やはり肉体の変化は精神にも影響を及ぼすというのだろうか。

 幸か不幸か、自分の股を人に見せる機会はないので、とりあえずこのことは自分だけの秘密にすることにした。なんかブラブラしたものが股にくっついているのは落ち着かない。パンツにもおさまりが悪い。しかも、これが急所だなんて意味が分からない。なんでそんな大事な臓器が体の外側に出てるの。

 個人的な感覚としては、心臓が股の間からぶら下がっているくらいの気持ちだったので、アレが生えてからのわたしはずいぶんビクビクしているように見えただろう。でも、だんだんビクビクしているのにも疲れてきて、このままじゃいけないと思ってアレを鍛えることにした。とりあえず、ナヨナヨした色白の肌を変えるべく、アレを日に当てた。日の差し込む窓際でパンツを脱いで寝ころんだ。あとは、ちょっと怖かったけど、触ってみたりした。

 わたしの努力に応えるように、アレはだんだんとたくましくなっていった。まぁ他のアレのことは知らないんだけど、自分で見ていてちょっとイケてるんじゃないかって思うくらいになった。

 そうなるとわたしの内部でムクムクとイケない欲望が頭をもたげてきた。

 

「これを誰かに見せたい」

 

 いや、この考えがイケないことだっていうのはわかってる。急にこんなもん見せられたらトラウマ負っちゃうかもしれない。最初のころと違って、いまのアレはなんかグロいし。もちろん、しかるべき病院にいけばお医者さんが見てくれて、なんならサクッと切り取って元に戻してくれるかもしれないんだけど、そうではなくて、なんかこう、できれば、できればだけど、若い女の子に見てもらいたい。

 いやいや、ダメだダメだ。こんなこと考えちゃダメだって思えば思うほど欲望が大きくなっていく。最悪、身内ならどうだろうか。妹なら大事にならないんじゃないか。でも、流石にそれがトラウマになって男性恐怖症とかになったら責任持てないしな。

 そういうわけで、妥協案として母に見せることにした。

 わたしは全裸にトレンチコートといういで立ちで、風呂上がりの母を廊下で待ち伏せした。そして、タイミングを見計らって、ワッと飛び出した。ぼろん。

「え、あんた! 何それ?」

 何って、ち〇ぽじゃなかったのか。じゃあ何だろ、これ。誰か心当たりがある人がいたら教えて下さい。