動物占いとイヤな小学生

 私は世にも珍しい「占いが嫌いな女子小学生」だった。チープでキラキラしたファンシー文具やおまじないは大好きだったけど、なぜか占いは嫌いだった。血液型占い、十二星座占い、ちまたには占いが溢れていたけれど、その全てが嫌いだった。

 あの頃は、まだ幼くて言語化できなかったけど、嫌いだった理由は人間を型にはめて理解した気になることに対する違和感だったのではないだろうか。こんなにたくさんの人間が、色々なことを考えて、色々なことをしているのに、たかだか十数パターンに類型化して語るなよ。占いなんて全部ウソっぱちだ。そういうイヤなことばっかり考えている小学生だった。
 当時、動物占いが大ブームだった。あれも誕生日で人間を何パターンかに分類するタイプの占いだ。クラスの女の子たちは、自分がチーターだとかなんだとか言って、お互いの相性を占ったりしていた。
 私は、そのブーム自体にイライラしていた。そして、そのブームに対抗するべく、オリジナルの動物たちを黙々と作成した。ラクダは口が軽く秘密を守れない。ヤギは相手によって態度を変える。オットセイは他人を見下している。
 そんな陰鬱な作業に没頭しているとも知らずに、ユミカちゃんが私に「ミキちゃんは何の動物だった?」と尋ねてきた。私は「オットセイだったよ」と答えた。ユミカちゃんは動物占いの本を一生懸命めくってから「オットセイと友だちになる動物はいないよ」と悲しそうに言った。


 動物占い、当たってるじゃん。